『シティーハンター』最新劇場版レビュー:30代に響くハードボイルドと不滅の冴羽獠

1980年代後半から90年代にかけて大人気だったアニメ『シティーハンター』。新宿を舞台にスイーパー(何でも屋)の冴羽獠と相棒槇村香の活躍を描くハードボイルドコメディは、当時子供だった我々30代にも強い印象を残しました。あれから時は流れ、2019年には劇場版『シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』が公開され、さらに2023年には新作映画『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開。往年のファンを熱狂させました。本記事では、この最新劇場版について、30代ファンの目線からレビューします。

シリーズ最新作の概要

ストーリー: 最新劇場版『天使の涙(エンジェルダスト)』は、原作漫画でも謎多きキーワードだった「エンジェルダスト」を巡る物語。冴羽獠(リョウ)にまつわる過去の因縁が明らかになる展開で、ハードボイルド色が強い内容です。依頼人として現れた美女と獠のやり取り、香との相棒関係の機微、そして暗躍する敵対者との銃撃戦と、ファンが期待する要素が目白押し。シティーハンター節とも言えるお約束の展開も健在で、冒頭から「もっこり」ギャグが炸裂し、30代の観客は思わずニヤリとしてしまいます。

現代との融合: 舞台は現代の新宿。スマホやインターネットといった現代的アイテムが登場しつつも、獠の価値観や雰囲気は当時のまま。時代を超えてキャラクターが存在している設定なので、当時のファンも違和感なく受け入れられます。「XYZ」の伝言板もネット掲示板に進化し、懐かしさと同時に時代の流れも感じさせます。

見どころ

冴羽獠のカッコよさ復活: やはり一番の見どころはリョウの活躍でしょう。普段はスケベで能天気なキャラが、いざというときに見せる超一流の射撃テクニックとキレ者の頭脳。今回も狙撃シーンでは「さすがシティーハンター!」と思わせる神業ショットを連発します。30代になった今見ると、若い頃以上にリョウの大人の色気や頼もしさが刺さり、「こういう大人になりたかった」と憧れ直した方もいるのでは。古川登志夫さんの声も健在で、低く渋い声で「香、あとを頼む」と言われると鳥肌ものです。

相変わらずのギャグ: シリアスなストーリーの中にも笑いは健在。リョウが依頼人の美女にデレデレして香に100tハンマーで制裁されるお決まりギャグは、令和でも鉄板でした。劇場でも公開当時、30代以上と思しき観客から笑いが起きていました。小ネタも豊富で、某宅配ピザをパロディした看板や、海坊主と美樹の喫茶店「キャッツアイ」の名前遊びなど、探せば探すほどニヤリとできる要素が散りばめられています。このあたり、昔のノリをそのまま理解できる我々世代にはたまりません。

エモーショナルな展開: 今回はリョウの過去に深く踏み込む話ということもあり、中盤以降はシリアスかつ感動的なシーンも。特にクライマックス、香がリョウに放つ言葉や、リョウが過去を乗り越える瞬間は、長年のファンほど胸に迫るものがあります。劇場では涙ぐんでいる同世代の方も見受けられました。子供の頃はハードボイルドなかっこよさばかりに目が行っていたかもしれませんが、歳を重ねてから見るとキャラクターたちの心情により深く共感できるようになった、と感じる30代も多かったようです。

30代ファンの反応

懐かしさに浸る: 公開時のSNSを見ると、「懐かしくて開始5分で泣きそうになった」「オープニングであの主題歌が流れて鳥肌」など、序盤からテンションMAXになったという声が。そう、本作の冒頭ではTM NETWORKの「Get Wild」が流れる演出があり、これがファン心を完璧に掴みました。30代にとってシティーハンターといえば「エンディングでGet Wild」ですから、それを踏まえた粋な計らいに感激した人も多数でした。

親子二世代鑑賞: 中には親になった30代が子供と一緒に観に行った例もあり、「子どもがハンマーで叩くシーンでケラケラ笑ってた。自分も昔そうだったなと感慨深い」といったエピソードも。作品自体が持つ普遍的なおもしろさを次の世代に伝えられるのは、長く愛されてきたコンテンツならではですね。

昭和・平成世代の交流: 余談ですが、若い新規ファンが過去作に興味を持ち、30代~40代の古参ファンが解説する、といった世代交流もネット上で見られました。「香の100tハンマーって?」「XYZって何?」という疑問に丁寧に答える年長ファンの姿は微笑ましく、シティーハンターが世代をつなぐ存在になっていることを感じました。

まとめ

最新の劇場版『シティーハンター』は、往年の魅力を損なうことなく現代にアップデートされ、30代のファンに最高のプレゼントを届けてくれました。リョウと香の名コンビは色褪せず、笑いもアクションも感動も詰まった120分間は、まさに「待ってて良かった!」の一言。エンドロール後にはお馴染み「XYZ」の文字も映し出され、続編を期待せずにいられません。

まだ観ていない方、かつてファンだった方はぜひ手にとってください。都会の闇に今も響くあのパンチの効いた決め台詞「もっこり!」を聞けば、きっとあなたの中の少年少女が目を覚ますことでしょう。新宿の夜は、今もシティーハンターが守っている――そんなロマンを胸に、私たち30代も明日からまた頑張れそうです。