20代に広がるVTuber新潮流 メタバースライブ&AI VTuberが熱い!

はじめに

「VTuber」といえば少し前まではネット好きの間だけの文化と思われていましたが、今や20代の若者にもすっかり定着したエンタメジャンルとなりました。2024年には小学生の将来なりたい職業ランキングで「VTuber」が4位に入るほど​、バーチャルなキャラクターたちは現実のタレントに負けない存在感を放っています。そんなVTuber界に、ここ1~2年で新たなトレンドが到来しています。メタバース空間での大型ライブイベントと、AI技術を活用した新世代VTuberの台頭です。20代の視聴者を中心に盛り上がりを見せるVTuber新潮流の魅力と今後の展望を解説します。

トレンド1:メタバースライブが熱い!バーチャル空間で体験する新次元のイベント

VTuberたちがリアルライブさながらのコンサートを開催するようになって久しいですが、最近特に注目なのがメタバース空間を活用したライブイベントの増加です​。従来のライブ配信はYouTube上で映像を見る形でしたが、メタバースプラットフォーム(例えばVRChatやclusterなど)上で行われるライブでは、視聴者自身がアバターとなって仮想会場に「入場」し、VTuberのパフォーマンスを臨場感たっぷりに楽しめます​。

メタバースライブの魅力は何と言ってもその没入感でしょう。20代のファンたちは、自宅にいながらVR機器やPC画面を通じてまるでライブ会場にいるかのような体験ができます。お気に入りのVTuberが目の前のステージで歌い踊り、周囲には他の観客のアバターが歓声を上げている…そんな光景に「鳥肌が立った!」という声も多数。実際に観客アバター同士でエモート(ジェスチャー機能)を使って盛り上がったり、ライブ後に仮想空間内でファン同士が交流することもでき、ファンコミュニティの一体感が格段に高まると評判です​。

VTuber側にとっても、メタバースライブは新しい表現の場となっています。例えば舞台演出として仮想空間ならではの壮大なビジュアルや特効を出現させたり、観客を巻き込んだインタラクティブな企画を取り入れたりと、リアルの制約を超えたクリエイティブが可能です​。ある人気VTuberグループのライブでは、観客が自分のアバターで一緒にダンスできるエリアが設けられ、話題となりました。現地に行かなくても、オンラインで友人と連れ立ってイベント参加できる手軽さも20代にウケています。「夜10時からバーチャルライブ集合ね!」とSNSで呼びかけ合う様子は、まさに新時代の音楽フェス文化と言えるでしょう。

トレンド2:AI VTuberの台頭、新人が続々バズる

もう一つ見逃せないトレンドが、AIを活用したVTuberの登場です​。従来VTuberといえば中の人(演者)が存在し、リアルタイムで動かしたり声を当てたりしていましたが、近年はAI技術でキャラクターの動きや会話を生成する試みが注目されています。中でも2024年後半にデビューした「結城さくな」さんは、初配信で同時接続者数38万人超という驚異的な記録を打ち立て、一気に業界を席巻しました​。結城さくなさんは裏で高度なAIが駆動しており、雑談内容やリアクションの一部を自動生成することで話題に。なんと初配信からわずか374日でチャンネル登録者数1000万人を突破するという前人未到の快挙も成し遂げています​。

AI VTuberの魅力は、これまでにない個性とスケールにあります。人間では考えつかないようなユニークなトーク展開をしたり、24時間休みなく配信を続けたりと、人間VTuberでは不可能な芸当が可能です。例えばあるAI VTuberは視聴者のコメントを機械学習で分析し、その場でオリジナルの歌詞と曲を即興生成して歌ってみせ、大きな反響を呼びました。20代視聴者からは「未来すぎる…!」と驚きの声が上がり、テクノロジーへの関心が高いZ世代に刺さっています。

もっとも、AI VTuberはまだ発展途上でもあります。前述の結城さくなさんのように大成功する例がある一方で、会話が不自然だったり同じフレーズを繰り返してしまうAI VTuberもおり、試行錯誤の段階です。ファンの中には「やっぱり中の人がいるVTuberの方が感情が伝わる」という意見も根強く、人間VS AIという構図で議論が起きる場面もあります。ただ、そうした議論も含めてVTuber界隈を盛り上げており、「このAI VTuberはすごい!」と話題になればSNSを中心に瞬く間に拡散されます。新しいもの好きな20代にとって、AI VTuberは目が離せない存在なのです。

20代に支持される理由:身近になったVTuber文化

これら新潮流を含め、VTuberが20代に広がり支持されている背景には、VTuber文化自体の市民権獲得が大きいでしょう。かつては「二次元のキャラが配信?ちょっとマニアック…」と思われていたのが、今や大手企業がVTuberを起用したプロモーションを行ったり、テレビ番組にVTuberが出演したりする時代です。ホロライブやにじさんじといったVTuber事務所所属のタレント達は名前を聞けば「知ってる!」という20代も多く、好きなYouTuberやアーティストと並んで好きなVTuberを挙げるのも珍しくありません。

また、新しい技術や試みに柔軟なZ世代は、メタバースライブにせよAI VTuberにせよ、抵抗なく受け入れて楽しむ傾向があります。「リアルとバーチャルの境界が曖昧」なデジタルネイティブ世代だからこそ、VTuberの存在も自然に感じられるのかもしれません。推しのVTuberを現実の友達のようにSNSで話題にしたり、グッズを集めたりと、その熱中ぶりは芸能人のファン活動と何ら変わりありません。

さらに、コロナ禍を経てオンラインエンタメが爆発的に普及したこともVTuber人気を後押ししました。リアルイベントに行けない期間中、VTuberたちは休むことなく配信や企画を提供し続け、多くの若者の心の支えになりました。「寂しいときに推しVTuberが毎日配信してくれて救われた」という20代ファンの声もあり、そこからすっかり虜になったケースも多いようです。VTuberはいつでもどこでもアクセスできる身近な存在として、現代のライフスタイルにフィットしているのでしょう。

おわりに

VTuberシーンは、メタバースやAIといった先端技術と融合することでさらなる盛り上がりを見せています。20代を中心にした若いファンたちは、この新時代のエンタメを積極的に享受し、文化を作り上げています。メタバースライブで熱狂し、AI VTuberの快挙に驚嘆する——その光景はもはや特別なものではなく、日常の一部となりつつあります。

もちろん、従来型のVTuberたちの活躍も健在であり、人間味あるドラマや交流があるからこそVTuberの世界は奥深いという点も忘れてはなりません。技術と人間らしさ、その両輪で進化していくVTuber文化は、これからも20代の私たちをワクワクさせてくれるでしょう。もしまだVTuberのライブを体験したことがない人や、AI VTuberって何?という人がいたら、ぜひこの機会に触れてみてください。バーチャルとは思えない臨場感や、新感覚のキャラクターとの出会いに、きっと目からウロコが落ちるはずです。