2023年夏、TBS日曜劇場枠で放送された『VIVANT』が社会現象級の盛り上がりを見せました。堺雅人さん主演、坂元裕二さん脚本協力という布陣で、放送前から「ただ者ではなさそう」と30代ドラマファンの注目を集めていましたが、期待をはるかに超える大作でした。毎週日曜が待ち遠しくなり、Twitter考察がトレンド入り、最終回視聴率は近年稀に見る高水準。久々に心震えるドラマを体験した30代筆者が、『VIVANT』の魅力を語ります。
ネタバレ無しストーリー紹介
物語の導入: 舞台は中央アジアの架空国家・バルカ共和国。丸菱商事のエリート社員・乃木憂助(堺雅人)は、出張先のバルカで巨額の公金紛失事件に巻き込まれてしまう。濡れ衣を着せられた乃木は、現地で出会った謎の日本人・野崎(阿部寛)やバルカ警察の女性刑事サナ(二階堂ふみ)と共に、真相を追うことに。裏で暗躍するテロ組織「テント」、乃木の隠された過去、日本とバルカを繋ぐ陰謀…次々と明らかになる驚愕の事実に、物語は怒涛の展開を見せます。
映画級のスケール: 第1話から海外ロケ満載、砂漠でのド派手な銃撃戦やカーチェイスが展開され、「これTVドラマ!?」と30代の私は目を疑いました。まるで劇場版『半沢直樹 meets 24 -TWENTY FOUR-』といった雰囲気で(主演が堺雅人さんなので余計に)、エンタメ要素てんこ盛り。謎も大量に提示され、「乃木は二重人格?」「テントの正体は?」などネット上で考察が白熱。30代だとかつての『LOST』や『24』など海外ドラマ考察ブームを経験している方も多く、それを彷彿とさせるワクワク感がありました。
30代を虜にしたポイント
豪華キャストの競演: 主演の堺雅人さんはじめ、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、役所広司さん、さらに濃すぎる脇役陣(小日向文世さん、橋本さとしさん、寺島しのぶさん等)…30代以上なら誰しも知る実力派がずらり。この面々の演技バトルは圧巻でした。特に堺雅人さん演じる乃木の振り幅が凄く、一話ごとに見せる表情の違いや台詞回しに引き込まれ、「真実を知った後でもう一回初めから見返したくなる」と多くの視聴者が感じたはず。各キャラにバックボーンがしっかりあり、それを名優達が体現するので、ドラマに厚みが増していました。
考察ブーム再来: 毎話ラストに衝撃の展開が仕込まれ、次回予告や提供バックにまでヒントが散りばめられる作りは、視聴者の考察心を大いに刺激しました。私も友人とLINEで「乃木の父親のエピソード、実はこうなんじゃ?」「野崎は敵か味方か」と議論白熱。SNSでは証拠シーンをコマ送りで検証する猛者も現れ、中にはほぼ正解に辿り着いていた考察もあり感服しました。30代は学生時代に『リング』『らせん』など考察系邦画や、『新世紀エヴァンゲリオン』の謎解きにハマった世代。あの頃の情熱を思い起こさせる体験で、「ドラマってこんなに盛り上がれるんだ」と感動。
テーマ性とメッセージ: 『VIVANT』はエンタメでありながら、核にあるテーマはとても普遍的で深いです。キーワードとなる「VIVANT」はフランス語で「生きている、生き生きとした」という意味。物語を通じて浮き彫りになるのは、家族愛、仲間との絆、信念のために生きることの尊さ。ある登場人物の「『生きる』とは問題を解決していくことだ」というセリフが特に印象的で、30代として人生の苦難に向き合う勇気をもらいました。複雑な社会情勢(テロや国際問題)も背景にありつつ、最後はとてもシンプルなメッセージに行き着くのが巧みで、観終わった後心が温かくなるんです。
見どころと印象的シーン
第5話ラストの衝撃: ドラマ中盤最大の転機となった第5話のラストシーンは、日本中が悲鳴を上げました。ここでは詳しく書けませんが、私もリアルタイムで見ていて「うわぁ!」と声が出ました。翌日の職場で同僚30代たちと「あれヤバかったね…」と盛り上がる久しぶりの体験。視聴率もここからさらに急上昇し、世間での注目度も一気に高まりましたね。
バルカ共和国の魅力: 架空の国とは思えない作り込みで、現地の言語まで設定されており、出演しているモンゴル人俳優の方々の存在感も素晴らしかったです。特にバルカ警察署長のチンギス(ドルジ)は多くのファンを生み、「ノコル ノコル」(現地語で「大丈夫」の意)という彼の口癖が流行したほど。30代になると異国文化にも興味が出てきますが、このドラマを通じてモンゴルの文化や風習に触れ、「いつか旅行したい」と思った視聴者もいたことでしょう。
最終回のカタルシス: そして迎えた最終回。多くの伏線が回収され、いくつものクライマックスシーンに心震えました。乃木と野崎のバディ感、大御所俳優同士の対峙シーン、ラストのどんでん返し…2時間拡大版でしたが体感30分くらいに感じるほど。一部未解明の謎も残しつつ、しかし物語としての満足度は非常に高かったです。最終回ラストカットで映った”ある文字”には「続編あるの!?」とテンション爆上がりでした。30代視聴者の私はこんなにドラマで胸が熱くなったのはいつ以来だろう、と興奮冷めやらぬまま友人に長文LINEを送ったものです。
まとめ
『VIVANT』は、30代にとって心底楽しめる総合エンターテインメントドラマでした。高揚感、スリル、涙、そして観終えた後の爽快感と余韻。そのすべてが揃った傑作と言えます。昨今は配信ドラマの台頭やテレビ離れが叫ばれていましたが、本作は「やっぱりリアルタイム視聴って最高!」と思わせてくれました。
未見の方はぜひ配信や再放送でチェックしていただきたいですし、すでに視聴済みの方は伏線を再確認する二周目鑑賞もオススメです。30代の皆さん、あの頃夢中になったドラマの熱気が、再び私たちの元に戻ってきました。『VIVANT』はそんな幸福な体験を与えてくれた作品でした。次なる展開(もし続編や映画化があれば)も期待しつつ、この感動を胸に前向きに生きていきたいですね。「生きてさえいれば、きっといいことがある」――そう信じさせてくれる、素敵なドラマでした。