『THE FIRST SLAM DUNK』レビュー:あの青春が蘇る!30代が感涙した新生スラムダンク

「諦めたらそこで試合終了だよ」――90年代に一世を風靡した井上雄彦のバスケットボール漫画『SLAM DUNK』。その最終決戦とも言えるインターハイ湘北vs山王戦が、2022年末公開の映画『THE FIRST SLAM DUNK』で遂に映像化されました。当時中高生だった30代の私たちにとって、スラムダンクは青春のバイブル。新作映画化の報に胸を躍らせた方も多いでしょう。蓋を開けてみれば、日本アニメ映画史に残る大ヒットとなり、老若男女から絶賛される出来栄えでした。今回は、この『THE FIRST SLAM DUNK』について、当時を知る30代の視点からレビューします。

ストーリー:山王戦に焦点を当てた熱いドラマ

試合と回想が交錯する構成: 映画は湘北高校 vs 山王工業という、原作でも屈指の名勝負にスポットを当てています。ただし単に試合をなぞるだけでなく、ポイントガード宮城リョータに焦点を当てたオリジナルの回想エピソードが挟まれました。幼少期から現在に至るリョータの物語が、試合の合間に語られることで、原作ファンでも新鮮な気持ちで鑑賞できます。30代ファンの中には「当時は桜木や流川ばかり注目していたが、リョータにもこんなドラマがあったとは…」と感慨深く思った人も多いでしょう。

不屈の湘北魂: 試合内容自体は原作の展開をベースにしています。圧倒的王者・山王工業に対し、劣勢でも諦めない湘北メンバーの姿は、何度見ても胸が熱くなります。特にクライマックス、残り時間僅かで見せるあのプレイ(詳述は避けます)は、スクリーンでも鳥肌もの。上映中、劇場の30代男性が思わず声を上げそうになったというエピソードもSNSで話題になったほどです。学生時代に感じた興奮が、そのまま現代によみがえりました。

映像・演出:最新技術と原作愛の融合

CGと手描きの融合: 本作はCG技術を大々的に導入したアニメーションであることでも話題になりました。キャラクターモデルは3DCGで描かれ、背景や質感も非常にリアル。それでいて、井上雄彦独特のタッチや作画の勢いが損なわれることなく表現されているのが驚異的です。試合中の選手たちの動きは流暢かつダイナミックで、カメラワークも自由自在。30代ファンからは「まるで自分がコートにいるかのような臨場感だった」「当時アニメでは再現しきれなかった迫力があった」と高評価を受けました。

音響と音楽: ダンクシュートが決まる度に響くバスケットゴールの衝撃音や、靴音、観客の歓声など、音響面のこだわりも一級品です。劇場の音響設備でこそ体験したい臨場感があり、公開当時はリピーターがIMAXやドルビーシネマなど高規格上映を求めて足繁く通ったほど。さらに音楽面では、主題歌にThe Birthdayの「愛でも無敵」が起用されました。エンドロールでこのロックナンバーが流れた瞬間、熱い試合の余韻と相まって涙した30代も多かったはず。BGMもところどころ90年代を意識した熱血スポ根アニメ風なテイストがあり、懐かしさと新しさが絶妙にブレンドされていました。

30代ファンの心を揺さぶるポイント

青春の思い出補正: スラムダンク世代にとって、本作鑑賞は単なる映画体験に留まらず、自分たちの青春へのタイムスリップでもありました。当時、学校でバスケが流行ったこと、好きなキャラについて友達と語り合ったこと、部活で真似したプレイ…そういった思い出が次々と蘇ったという声が多数聞かれました。「あの頃、部室で読んだ単行本の匂いまで思い出した」などという感想も。映画のクオリティの高さが、そのようなノスタルジーをさらに強め、感情移入を極大化させたように思います。

新規ファンとの共有: 本作は原作を知らない若い世代も映画館に呼び込みました。親子で観に行き、30代の親が子に当時の熱狂を語る、といった光景もあったとか。SNSでは「娘と一緒に観たけど、終わったあと二人でスラムダンクごっこした」という微笑ましいエピソードも見かけました。かつて自分が熱中したものを、今度は次世代と共有できる喜び――これも30代にとってはたまらないポイントでした。

まとめ

『THE FIRST SLAM DUNK』は、30代にとってまさに待ち望んでいた“青春の再来”とも言える作品でした。原作者自らが監督・脚本に携わり、現代の技術と愛情で蘇らせたスラムダンクは、期待以上の感動と興奮を与えてくれました。あの頃と同じように拳を握りしめて応援し、同じように涙した方も多いでしょう。

まだ観ていないという往年のファンは、ぜひ手に汗握る試合の行方を自身の目で確かめてください。当時を知らない方も、この映画を機に原作を手に取れば、新たな扉が開けるはずです。湘北の熱い夏は、時を経ても色褪せない。30代になった今でも、いや今だからこそ胸に迫る最高のスポーツ青春映画でした。