子供と一緒に楽しむエンタメが教える世代間ギャップ

日曜の午後、私は小学二年生の娘とリビングで向き合って座っていました。きっかけは娘の一言。「パパの小さい頃に好きだったアニメ見てみたい!」。私が子供の頃に夢中になった作品と言えば、真っ先に思い浮かぶのは**『ドラゴンボール』**です。早速DVDを棚から引っ張り出し、親子二人で鑑賞会が始まりました。

親子で感じるギャップ

画面に孫悟空が登場し、懐かしのOP曲が流れた瞬間、私は興奮気味に「これだよこれ!」とテンションMAX。しかし隣の娘はというと、首をかしげています。ゆったり始まる昔のアニメ展開に、早くも飽きてしまった様子。「パパ、ちょっと古くさい絵だね…」その一言にドキッ。そうか、今の子にはセル画の質感や80年代の色使いは新鮮と言うより古臭く映るのか…。さらにストーリーも1話完結が多かった私の時代に比べ、現代の子供向けはテンポが速くどんどん展開が進むものが多いようです。娘は悟空が戦うまでの長い前置きにヤキモキして、「早く必殺技出さないの?」と催促。私は「ここがいいんじゃないか!」と思いつつも、その焦れったさが今の子にはもどかしいのだと気づかされました。世代間ギャップをまざまざと感じた瞬間でした。

それでも後半、悟空がかめはめ波を放つシーンになると娘の目も輝き、「すごい!パパ、これ昔のアニメなのにかっこいい!」と喜んでくれました。私も胸を撫で下ろしつつ、「だろう?」と得意顔。それでも続けて娘が放った「で、この後すぐ続き観られるの?」の一言に、またしても時代の違いを痛感。私が子供の頃は次回が待ち遠しくて仕方なかったものです。今や配信やボックスで連続視聴が当たり前。待つことのワクワクを知らない世代なんだなぁと、少し寂しくもありました。

新世代のエンタメに驚く

今度は逆に娘がハマっている作品を一緒に体験してみることにしました。娘がお気に入りなのは最近の大ヒットアニメ**『鬼滅の刃』**です。正直、私は名前くらいしか知りませんでしたが、映画が社会現象になるほど人気と聞いてはチャレンジしないわけにはいきません。テレビシリーズを親子で観始めると、その迫力とスピード感に圧倒されました。綺麗な作画に派手なアクション、1話ごとに畳みかける展開に、気づけば私の方が引き込まれていました。娘は嬉しそうに解説してくれます。「ね、面白いでしょ?」「このキャラが推しなんだ!」——かつて私がドラゴンボールを語っていた姿とダブり、苦笑しつつも微笑ましく聞き入りました。

しかしふと気づくと、登場人物の心情やテーマの捉え方に世代差が。私は主人公炭治郎の“家族愛”や“責任感”に胸を打たれ、「深い話だなあ」と感動していたのですが、娘は「炭治郎優しいから好き!」と純粋にキャラ推し。私が説教臭く解釈を語り始めると、「そんな難しいこと考えてないよ~」とあっさり言われてしまいました。子供は理屈抜きに作品を楽しみ、大人はつい意味を求めてしまう。この温度差もまた面白く、新しい世代の鑑賞スタイルに教えられる思いでした。

埋まる世代の溝

そんなこんなで、最初は互いの好きな作品に戸惑った親子でしたが、不思議なことに数週間もするとそれぞれの良さを認め合うようになりました。娘は「悟空って純粋でいい人だね!」とドラゴンボールの続きをせがむまでになり、私はすっかり鬼滅の刃のキャラクター名を全部言えるほど詳しくなりました。世代間ギャップを感じつつも、一緒に笑ったりハラハラしたりする時間を共有する中で、お互いの世界を行き来できた気がします。

エンタメは時代とともに変わりますが、一緒に楽しむことで世代の壁を越えられると実感しました。親として子供の流行についていくのは大変なこともありますが、新しい発見があり自分自身の感性もアップデートされる感覚があります。一方で、子供にとっても親世代の名作に触れることは新鮮な冒険であり、昔の作品から何かを学び取ってくれることもあります。

世代が違えば感じ方も違う——それを実感するたびに、自分にもかつて子供だった頃があり、親世代とのギャップに戸惑った記憶があることを思い出します。そして今、こうして親子で互いの好きなものを尊重し合えることが、なんだかとても嬉しく思えるのです。

子供と一緒にエンタメを楽しむ時間は、世代間ギャップを埋め、互いの世界を知る貴重なチャンスです。時には「最近の○○は分からない」と嘆くより、一歩踏み込んで一緒に体験してみることで、新たな共通言語が生まれるかもしれません。親子で交わした笑顔と驚きが、今日も我が家の小さな宝物になっています。