はじめに
コクのある鶏ガラスープは、ラーメンをはじめとする多くの料理の基本となる出汁のひとつです。実際に日本ラーメン協会の調査(※)によると、国内のラーメン店の約**30〜40%**は鶏ガラをメインとしたスープを提供しているとも言われ、根強い人気を誇ります。
しかし、実際に自宅で鶏ガラスープを取ろうとすると、下処理やアク取りのタイミングなどで「難しそう…」と感じる方も少なくありません。そこで本記事では、鶏ガラを使ったラーメンスープの取り方を基礎からしっかり解説。ポイントを押さえれば、プロ顔負けの一杯を仕上げることも夢ではありません!
※具体的な数値は各種情報ソースや時期により異なるため、本記事では参考例として取り上げています。
1. 鶏ガラとは? 知っておきたい基礎知識
鶏ガラとは、鶏肉の骨格部分(頭・足を除く)を主に指し、骨や残った軟骨、時には内臓系(ハツ・レバー等)が付随する場合もあります。骨からはコラーゲンや旨味が抽出され、濃厚ながらすっきりした風味のスープを生み出すのが特徴です。
- 手に入れ方: スーパーの精肉コーナー、肉屋、通販など。時期や店舗によってはまとめ買いがお得なことも。
- 保存方法: 冷蔵(1〜2日程度)または冷凍(1〜2週間程度)で保管し、なるべく早めに使い切る。
2. 鶏ガラの下処理のコツ
2-1. 血合いや脂肪を取り除く
- やり方: 流水で鶏ガラをよく洗い、骨に付着している血合い、余分な脂肪や皮などを取り除く。
- ポイント: 血合いをしっかり取らないと、スープが濁ったり生臭くなる原因になるので丁寧に洗浄を。
2-2. 下茹で(ブランシール)で臭みをカット
- やり方: 大きめの鍋にお湯を沸かし、鶏ガラを1〜2分程度くぐらせてから取り出す。
- ポイント: この工程を挟むことで、余計なアクや臭みが早めに抜け、澄んだスープに仕上がりやすくなる。
3. ラーメンスープを作る手順
3-1. 清湯(チンタン)スープの場合
(1) 材料
- 鶏ガラ:2〜3羽分
- 水:2〜3リットル(鍋の大きさに合わせて)
- 香味野菜:ネギの青い部分、生姜のスライス、玉ねぎなど(お好みで)
- 酒または料理酒:大さじ2(臭み消し)
(2) 作り方
- 鍋に水と鶏ガラを入れる
- 下茹で後の鶏ガラを鍋に入れ、分量の水を加える。
- 火加減は“弱火〜中火”
- 沸騰させる前に弱火へ落とし、アクが出始めたら都度丁寧に取り除く。
- 香味野菜・酒を投入
- スープの臭みを抑え、味わい深くするために香味野菜や酒を入れる。
- 煮込む時間:1.5〜2時間程度
- 長時間煮込みすぎると雑味が出やすいため、時間を見つつアク取りと火力調整を。
- 漉す・味を調整
- ザルや布などでこし、塩や醤油などで好みの味に整える。脂分を控えたい場合は表面に浮いた脂をすくい取る。
(3) 出来上がりの特徴
- 透明感があり、上品な味わい
- さっぱりしているので、塩ラーメンや醤油ラーメンに向いている
3-2. 白湯(パイタン)スープの場合
(1) 材料
- 鶏ガラ:2〜3羽分
- 水:2〜3リットル
- 香味野菜:生姜、長ネギなど(お好みで)
- 塩・胡椒:少々
(2) 作り方
- あえて強火で煮立たせる
- 清湯スープとは逆に、沸騰させた状態をキープしながら煮込むことで、骨のコラーゲンや脂が乳化して白濁スープに。
- アクは適度に取る
- ただし、白濁を生む乳化成分まで取りすぎると色が薄まるので、最初の方だけ適度に除去する。
- 煮込み時間:2〜3時間以上
- 時間をかけるほどトロリとした濃厚感が出やすい。
- 仕上げの味付け
- 漉した後に塩や胡椒、醤油などお好みで調整。
- スープ自体にしっかりコクがあるので、単純な味付けでも満足度が高い。
(3) 出来上がりの特徴
- とろみと白濁度が高く、濃厚な風味
- コッテリ系のラーメン(白湯ベースの塩・味噌・担々麺など)に最適
4. 美味しく仕上げるためのポイント
- アク取りはまめに
- 透明感を保ちたい清湯スープは特に重要。
- 香味野菜の選び方
- 生姜やネギの青い部分は定番。にんにくが好きなら少量加えても◎。
- 時間配分を決めておく
- 清湯は弱火でじっくり、白湯は強火で一気に煮込むなど、時間管理がスープの完成度を左右。
- 仕上げにチーユ(鶏油)を使う
- 鶏脂を加えると一気にラーメンらしい香りに。市販の鶏油でもOK。
5. よくある質問(Q&A)
Q1. “清湯”と“白湯”はどう違うの?
- 清湯(チンタン): 弱火でじっくり煮出し、骨や肉のエキスを抽出しつつアクを取り除くため、透明感のあるさっぱりした仕上がりになる。
- 白湯(パイタン): 強火で煮立たせることで、骨の髄や脂が乳化し、白濁&濃厚な味わいになる。
Q2. 家庭用のコンロでも本格的に作れる?
- 十分に作れます。ただし大きな寸胴鍋の代わりに、4〜5リットル程度の大きめの鍋を使うのが理想。IHでも同じ要領で問題ありません。
Q3. スープを作りすぎたときの保存方法は?
- 冷蔵なら2~3日以内、冷凍なら2~3週間は保存可能。密閉容器やチャック付き袋に小分けしておくと使いやすい。
まとめ
鶏ガラを使ったラーメンスープは、下処理や火加減次第で清湯スープの上品さから白湯スープの濃厚感まで、さまざまな味わいを楽しむことができます。
- 下処理(洗浄・下茹で)で臭みや余分なアクを除去
- 清湯:弱火でコトコト、白湯:強火で乳化
- 好みの香味野菜や調味料で仕上げ
自宅でスープを取ると、既製品にはない“手作りならではの深み”が味わえます。ぜひ本記事の手順を参考に、あなたらしいこだわりの鶏ガララーメンを完成させてみてください!